特許無効審判の請求について
無効審判を請求するとき
通常、無効審判は、ある事由がなければ、請求することはありません。
無効審判を請求する事由としては、例えば、
- (1)特許権者との警告状等のやり取りで、権利者側と解決できない状況になったとき(将来的に権利行使される可能性が生じたとき)
- (2)実際に侵害訴訟を提起されてしまったとき
- (3)上記以外で無効審判の請求を考慮せざるを得ない状況になったとき
等が考えられます。
いずれにしましても、無効審判は、一旦成立した権利を消滅させてしまう行政手続であり、対世的な効力もありますので、よほどの事情が無い限り、請求することは無いと思われます。
上記(1)及び(2)のケースは、権利者側もある程度、無効審判が提起されることを予測しており、当事者間においても、無効事由についてのやり取り等、その機運が高まっていますので、請求するタイミングについては、それ程、悩むことは無いでしょう(上記(2)のケースでは、侵害訴訟が提起された後、暫くの期間をおいてから請求することが多いようです)。
しかし、上記(3)のようなケースでは、請求するタイミングや、請求する/しない、の是非については、判断が分かれることになります。
上記(3)のようなケースとしましては、例えば、権利者側は、実際に権利行使する可能性は低いと考えられますが、成立した特許権を広告宣伝として最大限活用しており、それによって自社の営業活動に大きな支障を来たしている(or来たし始めている)、とか、成立した特許権を消滅させないことには、第三者等に自社の製品は侵害品であると広く認知されてしまう危険性がある、とか、周辺技術は広く抑えているものの、基本的な特許権について抑えられており、実施する上で妨げになっている等が考えられます(その他にも色々な要因はあります)。
無効審判を請求する、ということになると、無効資料の調査に関する費用や手間、代理人費用等、それ相応の費用や手間もかかるでしょうし、審決取消訴訟までを考慮しておく必要もあるでしょう(たとえ無効審決を勝ち取っても、権利者側は審決取消訴訟を提起する可能性は大きいと考えられます)。
更には、無効審判を請求したことによって、付随的に今後の営業活動等に支障が生じてしまったり、逆に、相手方が所有する別の特許権等に基づいて、自社製品に対して権利行使されてしまう可能性もある等、さらに別の問題が生じる可能性もあります。
このため、無効審判を請求することが、自社にとって本当に得策であるかどうかを、費用対効果を含めて冷静に検証する必要があります。
例えば、権利の中身を詳細に検討した結果、容易に回避技術や発展技術が着想できるのであれば、「敢えて無効審判を請求するまでもない」、との結論もあるでしょうし、現時点で、その特許に関する製品が爆発的に売れていても、それは一時的なものである、と判断できれば、「労力をかけて無効にする必然性も乏しい」、という結論も有り得るでしょう。或いは、同業他社が無効審判を請求すると考えられるので、あえて当社は静観しましょう、という結論もあるかも知れませんし、係争に発展することなく、交渉によりライセンスが許諾される可能性があるかも知れません。
また、比較的見落とし易いのは、実際に特許が無効になってしまうことによって、それを歓迎する第三者(同業他社等)が存在する可能性もあることです。例えば、警告等の段階で、権利者側に無効理由を提示することにより、権利行使しないことを条件に無効審判も請求しない、といった内容で双方が和解できる可能性もあります。
この場合、自社は、その特許権によって権利行使されない、という条件を得るに留まらず、その権利が存続しているおかげで、別の同業他社に対する抑止力が発揮し続ける可能性も考えられ、価格競争等に巻き込まれない、といった効果も有り得るでしょう。
このように、無効審判を請求するか否か、及び、請求するタイミングについては、色々検討すべき要因があります。
特許無効の抗弁
侵害訴訟において、特許に無効理由がある場合(特許無効審判で無効にされるような事由がある場合)、被告が無効理由を主張することで、権利行使することに制限が生じるようになっています(特許無効の抗弁;特許法第104条の3)。
これにより、侵害訴訟における被告側としては、無効理由を検索して、無効資料の存在が確認された際、特許庁において無効審判手続をすることなく、裁判所において特許無効性の主張(権利濫用の抗弁)をする、という選択肢(裁判のみで争う)も考えられます。
特許法第104条の3については、論点も多々ありますが、裁判所で無効性を主張した場合と、特許庁で無効審判を請求した場合とで、相互に独立して審理が進められる結果、両者の無効性の判断に齟齬が生じてしまうこと(ねじれ現象ともいわれています)は、可能性としては有り得ます。
ただ、両事件が並存した場合、裁判所及び特許庁は、相互に情報を通知し、また、他方の事件が確定(完結)するまで手続を中止することも有り得ますので(特許法第168条)、実際の実務上において、同時期に異なる判断が出てしまうようなケースは、殆どないと思われます。(双方で異なる証拠が提出されたり、異なる無効理由が主張される等の事情があれば別です)。
また、仮にねじれ現象が生じたとしても、結果的には、権利者側にとって不利な状況になりますので、裁判所において特許無効の主張(権利濫用の抗弁)をするのであれば、併せて特許庁においても無効審判を請求するのが妥当であると考えられます。
裁判で無効理由を抗弁するか、併せて無効審判を請求するか
特許庁に対して無効審判を請求することなく裁判において特許の無効を主張するケースと、裁判において特許の無効を主張すると共に特許庁に対して無効審判を請求するケースについて、考慮すべき点など、幾つか挙げてみます。
(1)無効審判を請求することは、仮に勝ったとしても審決取消訴訟事件に巻き込まれることが予想されます。
このため、経済的な負担や、その煩わしさを考慮すると、裁判のみで争う(特許無効の抗弁)、というのも選択肢の一つとして検討すべきかもしれません。
もちろん、権利の無効性を論ずる以前に、対象製品が明らかに技術的範囲に属しない、ということが主張できれば、特許無効の抗弁や無効審判請求を考慮する必要性も乏しくなるでしょう。
(2)裁判のみで争えば、当事者間の紛争解決であることから、途中で和解して円満解決できる可能性もあります。
権利者に無効理由を提示することで、権利行使されることなく、特許権がそのまま残るような和解ができる可能性もあり得ます(実施者としては、特許権が残って権利行使はされない、というケースが望ましいこともあります)。
このため、裁判手続において、権利者サイドに無効になる可能性を把握させるなど、状況を見ながら、裁判手続がある程度進行した後で、無効審判の請求を検討するのが良いケースもあります。
(3)権利者側が訂正審判(訂正請求)をする、ということになると、多少の効果の相違がありそうです。
裁判手続において、被告が特許の無効性を主張し、原告(権利者)が、無効となる蓋然性が高いと判断した場合、権利者は、訂正審判を請求する可能性が出てきます。通常、このようなケースでは、訂正審判の小出し、すなわち、無効理由を回避しつつ対象製品が技術的範囲に含まれる訂正審判を請求して、それが認められなければ、また、クレームを絞って2回目の訂正審判を請求する…、といった訂正の小出し手続が可能となりますので、権利者側からするとクレーム訂正の遊度が高くなります(通常、このようなケースでの訂正審判は、審理手続が迅速になされています)。ただし、何度も訂正審判を繰り返すと、裁判手続が進行する可能性はあります。
このようなケースにおいて、被告側は、権利者が行う訂正審判の審理手続(訂正する内容)に関与することができませんので、必要があれば、特許庁に対して情報提供すべきでしょう。
一方、無効審判を請求して、原告(権利者)が、無効となる蓋然性が高いと判断した場合、その審判手続内で訂正請求することが可能です(特許法第134条の2)。このケースでは、権利者が訂正する機会は、かなり制限されてしまいます。おそらく、最初に答弁書を提出する機会のみになる可能性が高いでしょう。
再度の訂正の機会は、職権審理によって特許無効理由通知が出されたとき、及び2度目の答弁書の提出機会(施行規則47条の2第1項による答弁指令の場合は訂正できない)があったとき、であり、このような再度の訂正の機会が与えられるのはかなり稀と考えられます。このため、訂正審判のように、様子を見ながら訂正の小出しをすることが困難となります。
また、権利者が無効審判手続において訂正請求した場合には、通常、その訂正に対しては、弁駁書(審判請求書の補正)を提出する機会が認められると考えられます。このため、権利者が行う訂正内容について、訂正要件に違反している、とか、無効理由は解消していない等、関与することができます。
このように、無効審判を請求することで、裁判手続において特許の無効性を主張するだけの場合と比較すると、権利者側に対して、訂正の機会を、ある程度絞らせることが可能になると考えられます。
なお、平成23年改正法において、権利者は、無効審判の無効審決に対して審決取消訴訟を提起した後の訂正審判の請求ができなくなりました。この場合、無効審判の請求に理由がある、と認められたときは、審判長から審決の予告の通知があり、このときに訂正請求することが可能となります(特許法第164条の2)。このため、権利者サイドとしては、最初の答弁書の提出時に訂正請求することなく、審決の予告の通知があったときに訂正請求をする可能性があります。
(4)対象製品が特許権の技術的範囲に含まれるか否かの論争と、ある公知技術に対して進歩性があるか否かの論争が並存することがあります。
元来、技術的範囲の議論と、進歩性があるかないかの範囲の議論については、別物なのですが、両者は近似した概念ともいえます。
権利者としては、対象製品がクレームに含まれるように技術的範囲を広く主張する一方で、無効理由(専ら、新規性、進歩性に関する無効理由)に対しては、そのような無効理由が排除されるように、クレーム記載の発明を狭く主張することがあります(これについては矛盾するような主張になるかもしれません)。すなわち、裁判手続では技術的範囲を広く主張する一方で、無効審判手続では公知技術を含まないようにクレーム記載の発明を狭く主張することがあり得ます。
裁判において権利濫用に伴う無効性を主張した際、権利者としては、1つの審理手続内において上記のような矛盾する主張はできないでしょう。
逆に、裁判で権利濫用に伴う無効性を主張せずに、単に特許庁に無効審判を請求するだけでは、権利者側は、上記のような矛盾する主張をする可能性があります。このため、無効審判を請求するのであれば、裁判所においても、同様な無効理由を挙げて権利濫用の主張をすべきでしょう。
無効審判の請求人
既述しましたように、無効審判を請求するタイミングは、警告状等の書簡のやり取りがなされているとき(将来的に権利行使される可能性が生じたとき)、実際に侵害訴訟を提起されてしまったとき、があります。このようなときは、権利者側も承知の上で権利行使をしているため、無効審判の請求人名をオープンにしても、さほど問題は無いのでしょうが、無効審判の請求を考慮せざるを得ない状況になったときには、請求人名をオープンにすることは、様々な問題が生じる可能性があります(現在、侵害していることを相手方に知らせるか、或いは、今後その可能性があります、ということを権利者側に知らせてしまいます)。
無効審判については、権利の帰属に関するもの以外は、何人も請求できる(特許法第123条第2項)ことから、請求人名を具体的にオープンにしたくなければ、氏名を冒用する(いわゆるダミーです)ことも考えられますが、ダミーを使用する場合、いくつか留意する事項があります。
ダミーを使用するケースでは、権利者側に、その所属が悟られないように、実際の請求人とは、全くつながりのない人物(例えば、興信所等を使用して調査されても、実際の請求人を推測できないような人物と考えられ、このような人物は、通常、無効審判事件を遂行できるような専門知識が無いケースが殆どでしょう)が選択されるものと思われます。
通常、そのようなダミーが行う審判手続は、実際の無効審判を請求する意志のない者が、氏名の使用を許諾していると考えられます。実際の無効審判の請求時においては、そのような審判請求の意志まで特許庁は確認することはできませんので、その段階で審判請求書が却下等されることはないと思われますが、手続が進行して行くにつれ、特許庁との書類のやり取り、或いは、口頭審理に移行する段階で、不適法な審判請求として扱われる可能性が生じてしまいます。また、当然、権利者側からすると、そのような個人名でなされた無効審判請求については、積極的に口頭審理することが要求されると思われます。
したがって、どうしても審判請求人名をオープンにしたくない、ということであれば、実際の審判請求人が予測できないように選定した専門家(弁護士、弁理士)によって手続することを考慮すべきです。
なお、審判請求人名をオープンにしたくないケースであっても、敢えて権利者側に、「貴社が所有する特許権によって、現在、○○△△のやむを得ない状況下になっており、当方としては、貴社に対して無効審判を請求せざるを得ない状況になりました…」等、名前をオープンにして、ソフトな表現で無効審判の請求を予告すること(その可能性があること)を通知書などで通知するのも一考です。
この段階で、当事者間で何らかの歩み寄りや、平和的な解決ができる可能性もあり、将来的に、労力や費用の無駄を無くす可能性も有り得ます。
無効審判における無効理由
無効審判における無効理由については、専ら、進歩性なし(特許法第29条第2項)、及び、記載不備(特許法第36条)、更には、場合によっては、新規事項の追加(特許法第17条の2第3項)が大半を占めることになると思われます。
ところで、無効審判を請求するにあたり、無効理由に関する証拠(主に進歩性なしとする証拠)として、その特許が成立する審査(審判)の過程で挙げられた特許文献を再び持ち出してくるケースがあるのですが、審査、審判段階で拒絶理由として挙げられた公知文献のみによって、最終的に無効審決を得るのは、難しい(極めて難しい)と考えられます。
特許は、いわゆる行政処分として付与されたものである、という性格上、審査や審判の過程で挙げられた公知文献を証拠にして無効性を主張したところで、既に、それをクリアして特許を与えてしまっている以上、たとえ、判断主体(審判の合議体)が異なったとしても、行政庁として一旦出した判断を覆してまで無効にする、ということは殆ど無いと考えられます(行政サービスの安定化が図れなくなってしまいますから)。
ただし、審査官や審判官が、公知文献の重要な開示部分を見落としていたり、その開示技術について認定が誤っていた、というような事情があれば、多少なりとも可能性はあるのかもしれません。
尤も、無効理由を調査した結果、審査段階や審判段階で挙げられた公知文献よりも、有効な公知文献が見つからないのであれば、その場合は、同じ公知文献を使用して、審決取消訴訟を考慮して無効審判を請求する、という選択肢も考えられます。
100人が100人とも、審査、審判段階で挙げられた公知文献を使っても「無効にできない」というような判断であれば、それはもうお手上げでしょうが、多少なりとも、無効になるのではないか?といった可能性があれば、それは審決取消訴訟含みで争ってみる価値はあるかも知れません。
この場合、無効審判の審決に、どういった内容を書いてもらうか、については、予め考慮する必要があるでしょう(訴訟対象物は審決になります)。
また、これに限ったことではありませんが、被請求人(権利者)から、どのような答弁を引き出すかについても、予め考慮する必要があります。例えば、技術的範囲の問題と密接に絡み合うようなケースにおいて、特定の構成要素に対して公知技術をぶつけたり、特許法36条の要件(実施可能要件、サポート要件、明確性)をぶつけて、被請求人から有利になる回答(答弁)を引き出すことはできないか?、或いは、審決に技術的範囲を解釈する上で有利になるような記載を書いてもらえないか?、といったことも考慮してみましょう。
警告状のやり取りの段階では、被請求人(権利者)は、そのあたりに気付いて敢えて議論をスルーしてしまうこともありますが、通常、無効審判手続における審判官は、そのような当事者同士の状況(イ号の存在や、その具体的構成)を把握していませんので、審決に有利な内容を書いてもらう(例えば、本件特許のクレーム1における○○○という構成要素は、×××と解釈すべきであり、これによれば、公知文献1に開示されている△△△とは構造を異にするものであり…等)ことについて、検討する余地はあります。
無効にするための証拠の検索
無効審判の請求を考慮するに際しては、無効にするための証拠を検索する必要があります。
証拠の検索については、各種データベースや、社内の情報収集が充実していれば、社内で行うことも可能でしょうし、また、特許庁の電子情報図書館のようなデータベース等を個人的に活用して検索することも可能でしょう(無料です)。また、それ以外にも、外部の調査会社等を利用することも考えられます。
いずれにしましても、適切な証拠を検索するためには、まずは、請求項に記載された構成要件と、公知文献に開示されている開示技術との間で、対比表を作ることをお勧めします(調査会社に対して、「この特許権を無効にする公知文献を検索してください」と丸投げすることも考えられますが、その前に対比表で分析してみましょう)。
この対比表は、特許になった請求項に記載された文章を構成要件毎に分け、これを、とりあえずは、審査(審判)段階で挙げられた公知文献の開示内容と対比したものであればOKです(請求項に記載された文章を区切る位置については悩む可能性もあるでしょうけど、文章の途中で流れを断ち切るように区切っていなければ、ほぼOKです)。
そして、区分けした構成要件が、公知文献に開示されているか否かについて、開示されていれば○、開示されていなければ×、開示されているか否かが微妙であれば△を付してみましょう。
上記のような対比表を作ってみると、審査(審判)段階で挙げられた公知文献が複数あっても、分けた構成要件のいずれかについては、必ず「×」乃至は「△」となっているものが存在する筈です(特許になったのですから当たり前ですね)。
このため、その「×」乃至は「△」となっている構成要件に関し、これを具体的に開示している公知文献を、例えば、IPC、FI、Fターム、キーワード等を駆使して検索することで、取り敢えずは、無効理由の検索の第一歩は踏み出せます(調査会社等、外部に調査依頼する際にも、「○○○という構成を開示している公知文献を検索してください」といった、ピンポイント的な依頼をすることも可能になるでしょう)。
もちろん、審査(審判)段階で挙げられた公知文献のみならず、その他の公知文献について全て洗い出すつもりで検索するに際しても、上記したような対比表を作るのが作業上好ましく、また、無効理由を把握するに際しても便利といえます(場合によっては、全ての構成要件に○が付与できるような、同一の技術を開示した公知文献が見つかるかもしれません)。
また、最終的には、上記したような対比表は、無効審判の請求書の「請求の理由」の欄において、「請求の理由の要約」として記載することになると思います。
なお、当然ですが、複数の公知文献を組み合わせることで、区分けした複数の構成要件の全てに○印がついたとしても、その公知文献を組み合わせることについて動機付けが無かったり、或いは、組み合わせることに阻害事由が存在すれば、組み合わせについての論理付けが合理的な公知文献を再検索する必要があります。
公知文献の検索方法については、色々なノウハウやコツ等があるため、詳細なことはいえませんが、特許文献に限らず、専門書、業界紙、業界新聞、科学雑誌など、資料は無限にあります。また、特定国(その技術分野に秀でた国)の特許文献や専門書、その特許が外国出願していれば、他国の審査で挙げられた文献等についても留意してみましょう。
無効審判請求書
審判請求書については、特許庁のHPで紹介されている無効審判請求書の「請求の理由」欄の記載例に基づいて記載するのが良いでしょう。
「請求の理由」については、「項分け記載」を推奨しており、また、「請求の理由の要約」として、既述したような「対比表」を付けることも推奨しています。
なお、「項分け記載」するに際しては、特許を無効にする根拠となる事実を具体的に特定し、立証を要する事実ごとに証拠との関係を記載する必要があります(特許法第131条第2項)。単に証拠を挙げて、「これらの公知文献からすれば、本件特許発明は、当業者にとって容易に発明できる」といったような簡易な主張の仕方や、証拠の引用箇所と無効性の関係が明確でないような主張では、いくら職権主義とはいえ、将来的に審決却下されたり、決定却下される可能性もあります。
「請求の理由」に関しては、当初から、無効となる理由を、証拠の具体的な開示箇所と密接に関連させて論理的に説明する必要があります。
また、上記のように、「対比表」を付け、「項分け記載」することにより、書き手にとっては、無効とすべき理由のポイントを明確に主張、立証し易くなり、審査する側(審判官)、及び、答弁する側(権利者)についても、無効理由の内容を把握し易くなります。
ところで、実際に「請求の理由」の欄を記載する際には、上記の「項分け記載」等に加えて、さらに、主張のポイントとなる部分を際立たせるように、例えば、適度に改行して空欄の行を設けたり、特定の記載を太字にしたり、アンダーラインを付与したり、かぎ括弧を使用する等、することも考慮してみましょう。
無効理由の主張にメリハリが付き、より迫力のある審判請求書にすることも可能でしょうし、審査する側にとっても、主張のポイントがより理解し易くなります(だからといって、無効になる可能性が高まることはありませんが…)。
また、このように記載すると、審判請求書のドラフトをチェック(書いた人の後日チェック、第三者のチェック)する際、「無効理由として主張、立証が弱いなぁ」、とか、「証拠の事実認定が間違っているかも」と思う部分を冷静に把握できる等、より良い審判請求書に仕上げることも可能でしょう。
更に、何ヶ月か経過した後に、特許庁から弁駁書の提出機会(必ずあるとは限りませんが)が与えられたりすると、権利者側が答弁して論点となっている部分、或いはそれに基づいて訂正した部分等、容易に把握することも可能になるでしょう。
なお、「請求の理由」の欄には、更に、無効にする特許発明について、その目的についての予測性(容易に予測できる)、並びに、効果の顕著性(顕著な効果ではない)に関しても、予め主張、立証しておくのが好ましいと考えます(権利者側の答弁書での反論のよりどころは、専ら、目的や効果になることがありますので)。
無効理由に対応した審査基準の説明を参照
無効審判請求を請求するに際しては、無効理由が何であれ、とりあえず、その無効理由に対応した審査基準の説明を参照することをお勧めします。
審査基準は、審査において的確かつ統一的な判断がなされるように、特許庁において、その判断基準を定めたものですから、審判官に対する説得力や無効となる心証を高めるためには、その判断基準に基づいて忠実に無効の理由を主張することが良いと思われます。
例えば、進歩性を理由とした無効理由であれば、まず特許発明の構成要件を分説し、証拠の開示内容との間で一致点と相違点を特定し、相違点については、別の証拠の開示技術を組み合わせることが一般的と思われますが、証拠の開示技術を組み合わせるにあたって論理付けする際、審査基準にあるキーワードを駆使することで、無効理由の主張に説得力や迫力を出すことができます。
また、新規事項の追加について無効理由を主張する際にも、審査基準に記載されている事例集を参照して、合致するようなものがあれば、積極的に活用することもできるでしょう。
審判の被請求人が、審査基準と相反するような主張をしたり、矛盾するような主張をすれば、それはそれで有利になる可能性もあります。
ただし、審査基準は、あくまでも行政庁である特許庁において、統一的な判断がされるような指針(法律や法規範ではない)であり、また、その内容は普遍的なものではなく、判例や技術の進展、国際情勢等によって、随時、見直し、追加がされる性格のものであることは留意すべきです。
特許法第29条第2項の無効理由
通常、無効審判を請求するに際しては、特許法第29条第2項の無効理由(進歩性なし)を主張するケースが多いと思われます。ここでは、特許法第29条第2項の無効理由を主張する際の考慮すべき点を幾つか挙げてみます。
(1)3つ以上の文献は苦しい…
通常、複数の特許文献等を用いて、1つの独立クレームに対して進歩性がないことを主張するには、まず、その独立クレームを構成要件毎に分説し、分説した構成要件と引用文献(メインとなる技術を開示したものであり、主要な証拠となるものです)との間で一致点と相違点を検討する必要があります(ここでは、本発明の認定、及び引用文献に開示されている内容について、認定を誤らないようにします)。そして、両者の間の相違点に関しては、他の特許文献に開示されている技術内容を適用することで、分説した構成要件全体を網羅し、これにより、分説した構成要件に係る発明を着想するのは容易である、という論理展開になると思います。
この際、特許文献同士を組み合わせるには、説得力のある論理付け(技術分野の関連性、課題の共通性、作用、機能の共通性、引用発明の開示内容の示唆など)をする必要があり(両者を結びつける糊みたいなものです)、また、そのような組み合わせについては阻害事由が無い、ということについても触れることができれば、なお良いでしょう。
ところで、1つの独立クレームに対して、3つ以上の公知文献をぶつけないと進歩性がない、と主張できないようなケースは、無効理由としては弱いと思います。
これは、3つ以上の公知文献をぶつけることは、技術同士の組み合わせの動機付けが乏しいことが多く、組み合わせに際しても阻害事由が生じやすいためです。特に、分説したクレームの構成要件に対して、各証拠から恣意的に合致する構成要件を抽出した、いわゆる「後知恵理論」が生じ易くなってしまいます。
また、独立クレームを構成要件毎に分説する際にも、検索した証拠の開示内容を考慮して、都合の良いところで文章を切ってしまう(そうしたいのは山々でしょうけど…)ことがありますが、これについても、後知恵による「当てはめ議論」になってしまう可能性があります。本来、構成要件として、相互に技術的な関連性を持って密接不可分との関係にあり、有機的に関連しているものを、都合の良いところで分離してしまうのは好ましくないでしょう。
実際、3つ以上の公知文献を組み合わせて、進歩性がないことを論理的に説明するのは、たやすいことではなく、そのようなケースでは、何とか2つ以下に絞れるよう、もう一度、証拠の検索をし直した方が良いと思います。依頼者から、1つのクレームに対して、3つ以上の証拠を挙げられると、第1印象として「これは無理かも…。」と感じてしまいます。
尤も、3つ以上の公知文献であっても、適切に分説した構成要件に関し、「後知恵である」との印象を持たせることなく、公知文献の開示技術の組み合わせが論理的に説明できれば良いです。
(2)2つ以上のハードルも苦しい…
「進歩性なし」を理由とした無効理由を主張する際、ある結論を導き出すのに、ワンクッションをおかないと、その結論に移行できないようなケースがあります。
このワンクッションをおくことで、論理構成は2つのハードルを越えることを余儀なくされてしまいます。
例えば、Cという結論を導きたいところ、ある証拠からAという事実認定しかできないようなケースでは、A→Cを導き出すのに論理に飛躍がありすぎるため、まず、A→Bを説明し(第1のハードル)、そして、B→Cという結論を導き出す(第2のハードル)、といった論理展開をすることがあります。
このように、2つのハードルを越えなければ狙った結論を導き出せないようなケースでは、既述した3つの公知文献と同様、論理付けに無理が生じていたり、前提条件がおかしくなっている等、論理が破綻していることがあります。
したがって、上記したようなケースでは、Bという事実認定が可能となるような証拠を再検索する等、ハードルを1つにすることを検討した方が良いでしょう。
できるだけシンプルで、説得力のある論理展開ができる証拠であれば、比較的、無効理由を書くのは楽であり、このようなケースでは、「無効である」との結論を得易いと思われます。逆に、頭を抱えながら複雑な論理展開をしなければならないケースでは、無効にすることは難しい…(長い意見書と似ています)。
(3)大黒柱について
進歩性がない、という無効理由を主張するに当たって、構成要件を分説した後、検索によって挙がった公知文献との間で一致点と相違点を特定するのですが、複数の証拠が検索されると、「どれをメインの証拠にするか」については迷うことがあります。
誰が見てもメインとなる証拠は明らかであり、相違点(僅かな相違点です)に関しては、「甲第1号証に開示された構成に、例えば、甲第2号証に開示されている○○○という構成を適用するのは容易である」といったような論理構成ができれば、無効理由の主張は比較的スムーズになると思いますが、検索した複数の証拠で、どれをメインにするか甲乙付け難いようなケースが有ります。
構成要件を分説して、証拠に開示された技術との間で一致点を特定する際、一致点が最も多いのをメインの証拠にしがちなのですが、発明の課題や効果、特徴部分を考慮した際、構成要件の一致点が多いからといって、必ずしもそれをメインの証拠にする必要はないと思います。
無効審判手続きにおいて、権利者側の代理をした際、「あ~、甲第2号証がメインの証拠になっていたら、もっと答弁が苦しくなっていたかも…」なんて感じることもありますので、複数の似たような証拠がある場合、どれをメインにするか、色々組み替えて検討することも重要です。職権主義が支配するため、そこはあまり考慮する必要は無いよ、と思われるかも知れませんが、主張が変わると審判官に対する印象度も異なってきますので、検討すべきでしょう。
ところで、無効審判を特許事務所(代理人)に依頼する際、大黒柱となり得る証拠が、誰が見ても異論のないケースであれば問題ないのですが、そうでないようなケースでは、どれをメインの証拠(1号証)にするかについて、代理人側に先入観を与えない方が良いかも知れません。
代理人(審判請求書を書く人)としては、依頼人から「これが甲第1号証です」といわれてしまえば、実際は、別の証拠を甲第1号証とした方がより好ましい無効理由の論理展開ができるにも拘らず、依頼人の意向に引きずられてしまう可能性も有り得るからです。
心の中で、自分が思い描くものを甲第1号証としておき、特許事務所に依頼する際、先入観を与えずに自由に無効理由を構築してもらい、自分の思い描いていた甲第1号証とは異なるものが甲第1号証となった場合、それについて検討するのも、幅が広がって面白いかもしれません。
また、個人的には、大黒柱となる証拠は、最初に挙げる(甲第1号証とする)のが良いと思っています。最初に周知技術を刷り込むべく、甲第1号証から順に一般技術を紹介して行くような主張の仕方もありますが、どうも迫力にかけ、助長な印象があります(無効理由は、簡潔&迫力あることがよろしいかと思います)。
(4)証拠の組み合わせについて
請求項に記載された特許発明の構成要件を分説して、証拠に開示された技術との間で一致点、及び相違点を特定し、その相違点について別の証拠を組み合わせて進歩性がないことを主張するに当たり、別の証拠として、全くかけ離れた技術分野の公報を提示されることがあります。
このような文献の組み合わせで無効理由を主張するケースでは、恐らく権利者側の答弁書において、「構成要件の一致性を図るために、後知恵によって持ち出してきた証拠に過ぎず、甲第1号証に対して全く異なる技術分野の技術思想を適用する必然性もなければ、合理的な動機付けもない」等と、反論されるでしょう。
全くあさっての証拠を組み合わせて進歩性を否定する(それしかないのでしょうがない)のであれば、上記のような反論は、ある程度、予め(答弁書で反論される前に)封じ込めておきたいところです。
例えば、課題の共通性についていえば、「○○○といった課題は甲第2号証の技術分野では解決すべきものとして一般化されており、その課題の解決手段として、×××のような手段(構成)を採用するのは、もはや周知・慣用の技術である。このような周知・慣用技術は、技術分野の相違はあるにせよ、甲第1号証の技術分野に携わる当業者にしてみれば、解決手段を考慮するに際して積極的に誘引されるべき事項であり…、」等と主張することで、後から提出される答弁書の反論を、予め封じ込めておくことも可能でしょう。
また、証拠を組み合わせて論ずる際には、技術開発の流れに沿った合理的な理由(証拠を組み合わせすることに不自然さがない)を主張できれば、多少なりとも動機付けに説得力を持たせることもできます。
強烈な反論で後出しした方が心証として有利に働く可能性もあり、また、答弁書が出てそのまま審決されてしまう、ということも考えられますので、証拠の組み合わせの動機付けに関する主張は、留意すべきかと思います。
なお、周知技術を主張するなら、少なくとも2つ以上の証拠を付けておくのが良いでしょう(1つだけ、或いは付けていないと、「周知技術では無い」等、組み合わせの合理性の議論に持ち込まれる可能性もあります)。
請求項が複数ある場合について
もちろん、無効審判をかけるのですから、その目的は明確ですが、請求項が複数ある場合、多少、留意する必要があります。
例えば、必要最小限の請求項を無効にすれば良いという考え方(無効を主張しない請求項がある)にすると、権利者側からすれば、メインの請求項の有効性が危ういと考えたとえしても、そのような無効を主張していない請求項に限定した訂正をすることは、あまり考えられません(審判請求人が、無効を主張していない、ということは、その請求項に対応した設計変更をしないであろうし、将来、その請求項に対応する製品を作らないであろう、と予測するでしょう)。
あまり、こちら側(審判請求人)の手の内を見透かされるのは好ましくはありませんので、無効理由が指摘できる(無効の可能性が低くても指摘可能な)請求項については、全て無効を主張しておくのが良いでしょう。今後の実施予定が無く権利者側が無効になる可能性が低い、と判断したクレームに訂正してもらえれば、審判請求人としてはありがたいことです。
また、訂正に関しては、クレームのみならず明細書に記載された内容に基づいて限定することは可能となっており、訂正するであろう箇所については、予め予測できる可能性があります。
そのような場合、その記載に基づいた証拠も予め提出しておき、訂正をし難くする、という考え方もあるかも知れませんが、訂正するか否かも不明な状況であり、また、実際にそのような訂正があれば、審判請求人の意見を聴くことが的確な審理のために必要である、と判断されて弁駁書の提出機会が認められると思われますので、そのときに提出すれば良いと考えます。
弁駁書を提出する際(殆どは、権利者が訂正したときになると思います)には、訂正要件違反を申し立てることを、必ず考慮すべきです。これは、審判官が、訂正要件違反を見過ごしている可能性があるためです(特許法第134条の2第3項がありますが、念のため検討しましょう)。また、たとえ訂正要件違反がないとしても、無効理由が解消されていなければ、その旨についても主張すべきです。
なお、無効審判を請求している請求項に関しては、独立特許要件(第134条の2第5項で読み替え準用する第126条第5項)が適用されないことから、訂正後の発明について、例えば進歩性がないとする主張については、訂正要件の違反の主張ではなく、訂正された請求項に無効理由が存在する、という旨の主張になります。
また、訂正後の請求項が、新たな無効理由を有しているのであれば、これについても主張することは可能です(例;29条第1項を無効理由として主張していたところ、訂正によって29条第2項の無効理由を主張するようなケース)。この場合、新たな無効理由の主張については要旨変更に該当するため、審判長の許可が必要となります(第131条の2)。なお、そのような新たな無効理由の主張については、審判請求書を補正(補正書の提出)するか、或いは弁駁書で主張すれば良いです(手続的には後者の方が容易のような気がします)。
ただ、留意事項として、補正書または弁駁書のいずれを選択する場合であっても、要旨変更(新たな無効理由の主張)になるときには、第131条の2第2項第2号における「合理的な理由」については説明しておいた方が良いでしょう(審判請求人による説明義務です)。また、このような新たな無効理由の主張については、あくまでも特許が訂正されたことに起因して必要になったものですから、それとは関係のない請求項(訂正していない請求項)について、新たな無効理由を主張すること(便乗的な無効理由の追加)はできません。さらに、要旨変更となる場合、審判長は、審判請求人から提出された補正書(弁駁書)を特許権者に送達(同意確認通知)して、相当の期間を指定して「同意回答書」の提出を求めます(規則47条の4第1項)。
したがいまして、当初の審判請求書での無効理由の主張については、十分に吟味しておく必要があるでしょう。例えば、第29条第1項の無効理由があれば、必然的に進歩性もないはずですので、当初から第29条第2項についても言及しておいた方が良いと思われます(第29条第1項の無効理由を技術的範囲と絡ませるような戦術的なケースは別です…)。
まとめ
特許権者から警告状がきたときから無効審判を請求するに際しての配慮(考慮)すべき事項を挙げてみますのでご参考までに。
(1)無効にできなくても勝ち
無効審判請求して特許を無効にできなくても、少なくとも、権利者側から、審判請求人にとって有利な主張(技術的範囲に関し、対象品が含まれないような主張など)を引き出したり、対象品(実施予定品)から外れる訂正をさせたり、或いは、審判請求人にとって有利になるような審決を書いてもらえば良いです(たとえ特許が維持されても、実質的に勝つことはあり得ます)。
(2)証拠はできるだけ少なく(異論はあるでしょうが…)
無効審判に使用する文献の数はできるだけ少ない方が良いでしょう。また、無効理由についても、無効になる蓋然性が高いものに絞った主張が良いと考えます。これは、最も無効性の高いと評価したもので特許を無効にできなければ、それよりも低い評価のもので無効にできるはずがないからです。また、審決に負けて取消訴訟を提起する際には、争点が少なくて済みます。
この点、裁判における権利濫用の抗弁とは、証拠の出し方が異なるかもしれません(裁判では、無効理由が沢山あって権利の濫用です、ということを主張しますので)。
(3)証拠は常に探す
一旦、無効審判を請求すると、審判請求人は、無効になる資料の調査を止めてしまうことがあります。
地道に調査していると、更に、ずばりの証拠が見つかるかもしれません(これは結構あるケースです)。
(4)最後に振られたときは、取り敢えず要注意
たとえば、案件が複雑になってくると、複数回に亘って主張できる機会が与えられることが有ります(例えば、第1答弁書→第1弁駁書→第2答弁書→第2弁駁書、審尋など)。
一般的に、当事者系審判の場合、判断主体(合議体審判官)は、審決するのに機が熟した段階で審理終結するのですが、当事者系であることから、当然、審理の公平性を担保することが大前提としてあります。このため、意見などを述べる機会が与えられたということは、それは、最終的に一方の側に不利にならないように、合議体は、「念のため意見を述べる機会を与えておきましょう」と考慮している可能性もありますので、複雑な審理過程の段階で、審判官から意見を述べる機会を与えられたなら、それは、多少、こちら側に不利な心証になっている、とも捉えることができます。
いずれにしましても、審判官から意見を述べる機会が与えられたなら、それは、現段階では、多少、こちら側に不利になっていることも予測できますので、しっかりとした内容で意見を述べる必要があります。
なお、案件が複雑になると「計画審理」が実施されますので、作成された審理計画書に従って審理が進められることとなります(審理計画を遵守できなくても、審理において不利な扱いを受けることはありません)。
5.審決取消訴訟に対しては必ず応訴
無効審判で特許を無効にしても、権利者側が審決取消訴訟を提起することが考えられます。
この場合、無効審判請求人(裁判では被告となります)が被告として応訴しないと、原告の主張に対して争うことができず、訴訟において被告の自白が擬制され、審決が取り消されてしまう可能性があります。すなわち、折角、特許を無効にする旨の審決を得ても、審決取消訴訟で応訴しなければ、特許無効審決が取り消されてしまう可能性がありますので、権利者側が審決取消訴訟を提起した際には必ず応訴しましょう。



