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法改正に関する情報

ここでは、法改正や特許庁における運用の変更などの情報を取り上げます。

平成21年4月1日、平成20年改正特許法が施行されました

主な改正点は、拒絶査定不服審判、分割出願、仮専用実施権制度、及び仮通常実施権制度です。

(1)拒絶査定不服審判について(特許法第121条)

拒絶査定不服審判を請求できる期間が、謄本送達後から3ヶ月以内と改正されました。
この改正に伴い、明細書及び図面の補正(前置補正です)は、審判請求と「同時」にのみ可能となりますので、それ以前のように、とりあえず審判請求をしておき、その後、補正書を提出するといった誤った手続をしないよう留意が必要になります。

 補正書の提出は、審判請求書と「同時」(注;同日ではない)であるため、混乱が生じることもあるかと思いますが、オンライン手続上、拒絶査定不服審判請求書の電子情報ファイルと、手続補正書の電子情報ファイルとを連続して入力して特許庁に送信し、1枚の受領書に、「拒絶査定不服審判請求書」と「手続補正書」が記入されるようにすれば間違いないでしょう。

 なお、審判を請求するに際して、審判請求書における「請求の理由」の欄において、「追って補充する」とし、後日、補正書によって理由補充をすることは、現行通り可能ですが、審判請求について3ヶ月の期間が認められるため、できれば、当初の審判請求書に「請求の理由」も記載しておくことが好ましいでしょう。

(2)分割出願について(特許法第44条)

 上記のように、拒絶査定不服審判の請求期間が改正(謄本送達後3ヶ月)されたことに伴い、分割出願できる時期も「最初」の査定の謄本の送達があってから3月以内(第44条第1項第3号)と改正されました。

 特許法第44条第1項第3号に関する改正法の適用は、改正法の施行日(平成21年4月1日)以降に最初の拒絶査定の謄本が送達され、かつ平成19年4月1日以後の特許出願について適用されることとなります(附則第2条第3項)。
このため、

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平成19年3月31日までの特許出願について拒絶査定があったときは、拒絶査定不服審判を請求して、前置補正できるとき(補正書の提出と同時になります)に分割出願する必要があります。すなわち、拒絶査定不服審判を請求しないと分割出願することはできません。

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平成19年4月1日以後の特許出願について拒絶査定があったときは、拒絶査定不服審判を請求する場合、審判請求と同時(特許法第44条第1項第1号)に分割出願する必要があります。それ以外にも、最初の拒絶査定の謄本送達から3ヶ月以内であれば、拒絶査定不服審判を請求しなくても分割出願することができます(特許法第44条第1項第3号)。

 なお、平成19年4月1日以後の特許出願については、平成18年改正特許法第44条第1項第2号により、特許査定謄本送達日から30日以内に分割出願することができます。

(3)仮専用実施権制度、及び仮通常実施権制度について(特許法第34条の2、3等)

特許出願段階(特許を受ける権利)でも、ライセンスに係る登録が可能となりました。
仮専用実施権は、登録しなければ設定の効力が生じません(特許法第34条の4)が、仮通常実施権については、登録する必要はないものの、登録することで第三者に対して効力が生じることとなります(特許法第34条の5第1項)。なお、仮通常実施権について登録した場合(通常実施権も同様です)、対外的に非開示にしたいとの要望が強い登録事項(ライセンシーの氏名など)については、開示制限がされます(特許法第186条第3項)。

 仮専用実施権、及び仮通常実施権は、特許を受ける権利に基づくものであり、審査の進行(拒絶理由通知など)に伴って、クレームの内容が大きく変化すること、或いは、明細書の記載事項の範囲内でのクレームアップ、分割出願等が可能であるため、ライセンシー及びライセンサーは、契約時において、そのような可能性までを考慮した条項を検討しておく必要があるでしょう。

(4)その他

特許法における拒絶査定不服審判の請求期間の改正に対応して、意匠法及び商標法においても、拒絶査定不服審判及び補正却下不服審判を請求できる期間が、それぞれ、拒絶査定謄本送達日または補正却下決定の謄本送達日から3ヶ月以内となっておいます(意匠法第46条第1項、第47条第1項、及び、商標法第44条第1項、第45条第1項)。

出願審査請求する案件について納付繰延制度が実施されました(平成21年4月1日以降の出願審査請求に適用)

 平成21年4月1日以降に出願審査請求する案件に関して、1年を限度として、印紙代の納付の繰延制度が実施されています。

 この繰延制度は、平成21年4月1日から2年間を予定しています。適用を受けるためには、出願審査請求書において、「審査請求料は納付繰延する。」と記載するだけで良く、その後、1年以内に手続補正書を提出して審査請求料を支払えばOKです。

 この繰延制度は、あくまでも審査請求料の支払いを猶予するだけであるため、1年以内に正規の審査請求料を支払う必要があります。また、早期審査の適用を受けるためには、早期審査の申請時または事前に、手続補正書で審査請求料を納付する必要があります。

産業上利用することができる発明、及び医薬発明に関して改訂されました(平成21年11月1日以降の審査)

従来、産業上利用することができない発明として「人間を手術、治療、または診断する方法」が挙げられていましたが、この判断基準が緩和されました。このため、医療関係の分野において、特許の取得可能な範囲が広がりました。
また、医薬発明において、特定の用法・用量で特定の疾病に適用するという医薬用途が公知の医薬と相違する場合には、新規性が認められることとなりました。

グリーン関連出願が早期審査、早期審理の対象となりました(平成21年11月1日以降の審査)

省エネ、CO2削減効果を有する発明については、従前の要件(中小企業出願、外国関連出願、実施関連出願等)を満たさなくても、早期審査、早期審理の対象となりました。

明細書、請求の範囲又は図面の補正(新規事項)の審査基準が改定されました(平成22年6月1日以降の審査に適用)

 平成18年(行ケ)第10563号の判決において、補正が許される範囲の一般的な定義が示されたことを受け、その判決との整合性をとるという観点から、審査基準が改定されました。
 なお、新しい審査基準は、平成22年6月1日以降の審査に適用されますが、現行の審査基準に基づく審査実務を変更するものではありません。すなわち、新規事項(補正が認められる範囲)について、上記判決を受けて一般的定義を新設したまでであり、審査実務に変更はありません。

 【新設された定義規定について】
 「明細書又は図面に記載した事項」とは、当業者によって、明細書又は図面のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項であり、補正が、このようにして導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入しないものであるときは、当該補正は、「明細書又は図面に記載した事項」の範囲内である。

PCT出願において、第19条又は第34条の規定に基づいて、明細書、請求の範囲又は図面の補正を行う場合、補正の根拠を表示する必要があります(平成22年7月1日以降に提出される第19条補正又は第34条補正に適用)

 PCT第19条又は第34条の規定に基づいて補正をする場合、補正のための差替え用紙に添付する書簡に、補正の根拠を具体的に表示(出願時の明細書、請求の範囲又は図面のどの記載に基づいているのかを説明する)しなければなりません(規則46.5(b)、66.8(a))。

 補正時において、このような補正の根拠を表示しなかった場合、国際予備審査機関は、当該補正が行われなかったものとして国際予備審査報告を作成することができます(規則70.2(cの2)。




シグマ国際特許事務所