特許出願(実用新案登録出願)と実施の関係
新製品を着想した段階、或いは、実際に試作品など作った(準備している)段階では、特許出願(実用新案登録出願)を考慮することとなります。この場合、特許出願(実用新案登録出願)と製品の実施に関しては、留意することがあります。
出願するタイミングについて
実際に新製品の開発が進んで行くと、その新製品が将来的に保護されるよう、特許出願等を検討することになるでしょう。
先願主義との関係で、できるだけ早く出願したい。でも、実際に試作品を作って行くと、今後、改良や変更する可能性もあり、現時点で出願するのは時期尚早の感もする。といったケースは良くあります。最初に頭の中で着想したアイディアが、そのままの形態で最終製品となることは稀であり、製品化に向けて開発が進んでいくに連れて、改良や変更を余儀なくされ、着想時のアイディアと実際の製品との間に乖離が生じてしまうことはよくあります。
とりあえず、基本となる着想部分について出願しておき、その後の実施化に向けての試作等に伴って生じる改良、変更については、その都度、出願して行く、というのが理想と思えますが、予算の関係上、そのような手法が取れないと、実際に出願するタイミングは難しくなります。このため、開発スピードを上げること、及び開発時において、変形例、別実施例を可能な限り検討することが重要となります。
また、最初に特許出願してから約10ヶ月目、約1年4ヶ月目は、現実の実施品(実施予定品)との間で詳細な見直し作業をするときです。10ヶ月目は、国内優先権を主張した出願を考慮するときであり、約1年4ヶ月目は、出願公開前の関連出願をする機会となります(最初の出願が公開されると、関連するアイディアは、進歩性なし、と判断される可能性もありますから)。
なお、実際に製品が世に出てしまえば、原則として、その後、特許出願をしても特許を取得できませんので、留意が必要となります。
先願の特許と実施品について
着想したアイディア、或いは更に進んで実施を考慮している製品について、特許出願をするに際し、先行特許文献の調査が充分になされていないことは良くあります。
先行特許文献の調査が充分でないと、2つの問題を抱えることになります。
第1として、折角のアイディア、或いは実施を考慮している製品を特許出願しても、公知技術に基づいて、新規性、乃至は進歩性なしで特許を受けることはできない。
第2として、実際に実施品を市場に投入すると、将来的に第三者との間で権利侵害の問題(係争問題)が生じる可能性がある。
大企業の知財部のように調査を専門にする部署があれば上記した2つの問題は、ある程度クリア(完全は無理でしょう)できますが、充分な調査能力がないケースでは、多額の費用を掛けてまで、調査に完璧を期すことは得策と思えません(完璧な調査をするのは不可能ですし、調査費用が非常に高騰してしまいます)。
第1の問題については、たとえ特許を受けることができなくても、その製品は、いわゆる公有財産の範疇にあり、実施するのは自由であると考えれば良いだけです(売れる製品が特許を取得できる、という関係はありません)。
また、第2の問題については、とにかく実施してしまい、第三者からクレームが来たときに対処しましょう、とのスタンスで良いと考えます(上記のように、調査に完璧を期していたら費用がいくらあっても足りませんし、機会損失してしまうことだって有り得ます)。
もちろん、予め問題となりそうな特許(特許公報、公開公報)が把握できていれば、技術的範囲に属するかどうか、無効理由は存在しないか、或いは、出願中であれば経過観察する等、詳細に検討をすべきでしょう。
なお、特許庁が実施する無料調査制度を利用することで、予め、その特許性についてある程度把握することは可能です。また、新規性、進歩性のような特許要件と、技術的範囲の問題(侵害しているか否かの問題)は別なのですが、無料調査制度を利用することで、技術的に関連する公知の特許公報(公開公報)が挙げられる可能性もありますので、多少の参考資料にはなるでしょう。



